凄腕職人 海苔を語る

海苔職人 桜井 明彦丸山海苔店 仕入れ担当
この道30年の目利き職人

「プロの厳しい要望に応えるために、
 自分の仕事を仕上げていく、
 その緊張感がやりがいです。」

海苔は自然の産物。毎年品質を安定させることは大変難しい問題です。しかし、プロをはじめとするお客さまの求める品質に、確実に仕上げていくことが重要です。そこで、そのこだわりの仕事について伺いました。まずは素材の吟味について。
「海苔は、牡蠣殻で芽を育て、海水温が14〜18℃に下がったところで網に種付けして、20センチほどの長さに育ったところで摘み取ります。丸山海苔店では、一番摘みの中でも、5〜10センチの極限られた部分を中心に仕入れるため、柔らかく、口の中でとろけるような海苔になります」

続いて工場での加工のこだわりについて。「火入れは低温と高温でそれぞれ3時間半と、通常の倍以上の時間をかけて丁寧に行います。海苔に含まれる塩分や厚さ。さらに気温や湿度によって、その都度焼きの温度や時間を調節しています。特に高級な海苔ほど繊細なため、低温でじっくりと甘みを出すよう焼いていきます」と海苔を手にしながら語る桜井。
「特に、寿司店などプロからの特注は、気合いが入ります。3000軒あれば、3000通りの要求があるのと同じで、仕入れの段階から製造にいたるまで、それぞれのプロの好みを頭に思い描いて対応していくのが、丸山の変わらぬ姿勢であると思っています」

寿司職人 澤田幸治銀座の名店
「さわ田」店主 

「脇役がしっかりしているから、
 ステージが成り立つんだ。
 寿司も一緒。」

「魚は美味しくて当然だけど、米、そして海苔やわさび、塩など脇役にこだわらなければ」そう語るのは「ミシュラン東京」で二ツ星を獲得した「さわ田」の店主、澤田幸治さん。
「うちのしゃりは特別に仕入れた『酢』と『塩』を使い、炊き方にも特徴があるため、「こんとび」の野趣あふれる味わいがよく合うんだ。口の中でとろける海苔の風味は格別。巻いたときにしゃりとネタにも良く合い、素材の持ち味を生かしてくれる」と、当店の「彦兵衛 こんとび」への思い入れを語ってくれました。
「彦兵衛 こんとび」はチャック袋に入っているため、いつでもパリッとした焼きたての新鮮さを損なわないのも魅力のひとつ。

澤田さんは、日に何度もお釜でお米を炊き上げ、「炊き立て」にこだわります。海苔も「鮮度感」のある状態でお出しするため、備長炭でサッと炙って、焼きたての香りをよみがえらせます。お客さまの中には「海苔だけほしい」という方もいらっしゃり、何もつけずにパリパリと召し上がられ「美味しい」と言っていただくことも。

凄腕職人 岩崎直之「築地定松」
岩崎直之氏

「野菜の品質を吟味し、
 鮮度管理を追求する
 『築地の仕事』が誇り。」

「築地はプロのこだわりに応えられる市場であってほしいという要望が強くなっています。品種改良や流通の進化により、安定して使える旬の食材が増える中で、様々な食材を組み合わせ、特色のあるメニューを作りたいというプロの要望は多岐にわたります。プロも認める品質と鮮度を保ち続けること。それが築地が築地である所以です」と生き生きと話すのは岩崎さん。

「生産者と連携して、高品質の国産野菜を安定供給することも築地の使命」と、これからの農業への想いも語ってくれました。
「海苔は、野菜との相性も良く、組み合わせることで、風味や食感の楽しみが加わります。茗荷、生姜、胡瓜に海苔をたっぷり加えた酢の物など、風味の掛け合わせを楽しみたいですね」

「築地 定松 」
明治43年創業の老舗青果店。野菜の目利き職人集団が、大手ホテルを始めとする食のプロだけでなく、一般のお客さまに、新鮮な野菜や果物を提供しています。

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